主人公の故郷には、
一種の『異世界』があった。
本作品は、主人公がその異世界の解体に立ち会った思い出を振り返る作品になる。
異世界と言っても、主人公に都合の良いことが不思議と起きる『THE⭐️世界観』な異世界とは違う。
それは戦後の赤線地帯だ。
今でいうところの風俗街、それも、アメリカ人を相手にする遊郭である。
実は、私の故郷に比較的近い場所にも、戦後の赤線地帯だった場所があり、
何も知らなかった子供の時分にまだその頃の名残のあるその場所に踏み込んでしまい、
自分の世界観を上書きされた思い出がある。だので、
この作品には一種の共感を覚えた。
転生なぞわざわざしなくても、異世界ならそこらじゅうに転がっているのだ。
不思議と旅に出たくなる。そんな小説でした。
ご一読を。