スライム

われわれの生が

本来

形のない

どろりとしたものであるなら

そのどろりとした

スライムに

形を与えるため

なんらかの

枠のようなものが

必要である

この世に生を受け

家族という

枠に入る

学校という

枠に入る

グループという

枠に入る

サークルという

枠に入る

会社という

枠に入る

国家という

枠に入る

コミュニティという

枠に入る

棺桶という

枠に……

いつか入るまで

取り囲む

さまざまな

枠・枠・枠

そのうち

枠そのものが

人生のような

気がして来る

しかし

あくまで

どろりとした

スライムのほうが

われわれの生である以上

ある日突然

支えをなくして

スライムのように

流れ出ても

決して

驚いてはいけない

もともと

そのどろりとした

掴みどころのないものが

あなた自身

なのであるから

　　　　　　　（了）